離職率の話しと職業指導員募集
今回は、先日の研修の中で引用された厚労省介護労働実態調査結果についてお話したいと思います。
この調査は毎年実施されているもので、介護職の就労実態の推移が比較しやすい資料です。介護職ではありま
すが、知的障害分野の支援員も同じ範疇になりますので参考になると思います。
●令和5年度の調査結果によれば、
介護福祉職(訪問介護を含む)の採用半年後の離職率が
・2013年の16.6%から2023年には13.1%と3.5%改善、
・介護職のみの場合は17.7%から13.6%へと4.1%の改善となっています。
2023年の全産業平均が15.3%ですから、2.2ポイント低下したことになります。
●また、調査期間中(一週間)の平均残業時間は1.6時間ですし、
有給休暇取得率(有給休暇取得日数/有給休暇新規付与日数)も53.7%となっています。
ちょっと前には、3Kなどと言われていただけに隔世の感があります。
●その改善の原因とされているのは、次の通りです。
・職場の人間関係の改善・・・個人的には、人間関係がこのように急速に改善されるとは考えにくいのですが。
・働き方改革(残業削減、有給休暇の取得促進、シフトの見直し等)・・・愛育会でも取り組んできましたし、
今後の実施に向けて検討を進めているものもあります。
・ICT導入による効率化が進む反面、利用者の直接支援や新たな社会課題の解決には、高い専門性が求められて
おり、AIには代替えできないので将来もなくならない仕事とみられること(経営協分析)…これについては
同感です。2015年に公表された資料では、今後10年~20年の間で約半数の仕事が消える可能性があるとさ
れていましたが、言葉にならない声に耳を傾け理解することが必要な知的障害者支援をAIが代替えするの
は、そう容易ではないと考えています。
●20~30歳台で就職・転職をお考えの皆さんは、この辺のことも考慮してみてはどうでしょうか。
●ちなみに、愛育会の採用半年後の離職率は9.5%、入所部門の平均残業時間は0.45時間/月、有給休暇取得率
(有給休暇取得日数/有給休暇新規付与日数)は66.4%となっています。どの数字も平均値より格段に良いと思
いませんか?
●さて、愛育会では、ただ今、職業指導員を募集中です。うち1名はパン工房「ぱんぱかぱん」での勤務を予定
しています。特に資格は必要ありませんので、パン作りを通した障害者の就労支援に関心のある方は是非ご検
討ください。
●詳しくは採用案内、及び、各事業内容等ご覧ください。
転職をお考えの皆様へ
ちょっと前のお話になりますが、県社会福祉協議会が実施した「中途採用職員に対する就職活動アンケート」の調査結果が公表されました。中途採用を考えておいでの皆さんの参考になればと思い、私、獅子座
の ❝いたっち❞ の意見をお話したいと思います。
なお、調査対象は令和元年度以降、他業種から福祉施設に転職し勤務している職員145人で雇用形態や職種は様々です。
所属は、高齢者施設が50人(34.5%)、知的障害者施設の30人を含め障がい分野が48人(33.1%)、児童は26人(18%)、その他21人(14.5%)となっています。回答者の年齢は50歳以上が最も多く、29.7%、次いで25~29歳が19.3%でした。
気になった質問 どれも最大3つまでの複数回答です。
●一つが「転職するにあたって感じていた不安や困った事」
①新しい職場に馴染めるか 83人(57.2%)
②資格や知識がない 72人(49.7%)
③年齢 43人(29.7%) がっトップ3でした。
①について当法人の施設ではメンターが職場にスムーズに溶け込めるよう、親身になって優しく丁寧に指導していますので、ご安心いただけると思います。
たまに、採用後すぐ退職される方もおいでになります。背景として、抱いていた業務イメージと違っていたのかと感じています。福祉系大学生なら実習の機会もあるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、経験のないまま就職するケースに多く見られるようです。もちろん、インターンシップやボランティアの受け入れはしていますが、特に、真剣に応募を考える方には、できるだけ、事前に職場体験やアルバイトといった形でどのような仕事なのか経験していただくと良いかと思います。
②について、仕事は人が好きで、人を思いやる心があれば大丈夫です。資格取得支援制度もありますので、この制度を活用して採用後、介護福祉士等の資格を取得した職員も多くいます。ちなみに、過去3年間に支援職として採用した職員のうち3福祉士の資格を所持していた方は4割程度で、この2年間で採用後に介護福祉士等の資格を取得した職員は10人以上です。福祉士の資格取得は給与のアップに繋がりますので、みんな頑張っています。
③については、50歳以上の回答者が多くを占めているためかと思います。入所部門では夜勤があるので気になる方も負い出るかと思いますが、介護等で夜勤を免除している職員を除き、多くの職員が60歳まで夜勤を含めた勤務に従事しています。また、法人内には吉野川育成園通所支援課や地域支援・就労支援のおりなす等、夜勤のない職場もあります。
●また、福祉業界への転職のきっかけを問う質問もありました。(複数回答 最大3つ)
①福祉業界に関心があったから 47人(32.4%)
②知人からの紹介 35人(24.1%)
③就職の労働時間や業務量に不満があった 27人(18.6%)
③就職の労働時間や業務量に不満があった 27人(18.6%)
④社会に貢献する仕事に就きたかった 24人(16.6%) が上位回答でした。
当法人には結構、介護分野や同じ知的障がい者支援分野から転職される方がおいでになります。理由を聞いたところ、福利厚生や労働条件面で評価いただいたようです。また、給与が大きく増えたので奥さんが涙を流して喜んだ
とか、貯蓄できるようになったとか、パートの方には 100万 円以上アップしたと話す方もあります。そんなに高いという認識はないのですが・・・。
●ついでにもう一つ、「今の職場に期待することは何ですか」との質問で
①賃金を上げて欲しい 87人(60%)
②研修制度・キャリアパス制度を充実させて欲しい 31人(21.4%)
③人間関係の改善 29人(20%)
④休暇を取りやすくして欲しい 27人(18.6%) を求める回答が多かったですね。
①について・・・弱いところを突かれました。保育とか介護に比べれば、幾分良いかと思いますが、報酬単価を国が決めているので難しい面はあります。ただ、先に記載しましたように、また、他施設の施設長さんの中にも「愛育会は高い」と話される方もおいでになります。いずれにしても処遇改善加算の関係から先に触れたように資格取得で一定額の引き上げは可能です。なお、アドバイスとして給与月額で比較するか、年収に注目するかについては、注意した方が良いかと思います。給与月額が高くても、賞与や処遇改善手当を含めた年収でみた場合、そうでもない事例はあるのではないかと考えます。
②については、特に育成園は職員数も多いので互いに協力しあうことで、外部研修を受ける機会は多くありますし、内部研修も新採研修からパソコン、社会人マナー等幅広い内容で実施しています。キャリアアップ制度も整っており、職位に求める能力や、必要な研修について示しています。
④の休暇について、採用初日から年休はありますし、「お互い様」ということで休暇は取りやすいと思います。特に育児中の職員には時間休があることが好評です。
みなさんにとって参考になる部分はあったでしょうか。これからも働きやすい職場、コミュニケーション豊かな人間関係の構築、頑張ってくれた職員に対する評価反映制度等いろいろと制度の見直しを行い、その情報を発信していきたいと考えていますので、時々のぞいてみてください。
Columnistの記事
ほぼ同期の意見交換会
令和3年度以降の採用者14人と「world cafe ☕スタイル」の意見交換会を開きました。お題はメンター制度や新任研修、愛育会の良いところなど、新人さんに意見を聞いてみた内容なので、参考までにお話しますね。なお、この会は堅苦しい研修ではなく、所属を超えた同期会というか横の関係作りも意図しての開催でした。
まず、「メンター制度」については、OJTとの役割の違いが理解されていないこともあり、必要性が理解できないとする意見や交代制勤務のため面談しにくいとの意見もありました。必要とする方もあるので、廃止ではなく多様な意見を踏まえて改善していくこととします。
次に「新人研修」ですが、現在4月下旬に集中して実施していることで、理解定着を難しくしているのではないかと気にしていましたが、そのような意見が示されましたので、分散して実施することや、教えてほしい・知りたいと意見のあった項目を追加することも検討したいと思います。
また、「愛育会の良いところ」について話してもらったところ、
・時間休や育休、手当などが充実している
・給与面は他の事業所より良い
・ホームページの情報が詳しくわかりやすい
ことについて、複数の方から意見がありました。(若干の忖度はあるかな?)
ただ一方で、給与面については、入って直ぐ昇給額が下がったとの意見もありました。これは、初任給や夜勤手当、パートさんの時給の引き上げ等とのバランスを考慮し、調整したためです。まあ給与全体としては記載したように良いとの評価ですが。
このほか、残業や体の疲労感が少ないとの意見もありました。
ときどき、こうした職員の皆さんからの意見を聞きながら、愛育会として働きやすい職場づくりを目指していきたいと思います。
by いたっち